記事の概要
この記事では、応用情報技術者試験の概要・難易度・勉強方法・対策について取り上げます。
応用情報技術者試験とはどんな試験なのか?
応用情報技術者試験の概略
応用情報技術者試験は、国家試験の「情報処理技術者試験」の全12種類の区分の中の1つに当たる試験です。
情報処理技術者試験は、経済産業省が「情報処理の促進に関する法律」を法的な根拠として実施し、経済産業省の管轄に属している独立行政法人「情報処理推進機構」(Information-technology Promotion Agency, 略称IPA)が主催しています。
画像引用:https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/list.html
応用情報技術者試験を含む情報処理技術者試験は国家試験ですが、情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の国家資格を得られる情報処理安全確保支援士試験を例外として、どの試験を合格しても国家資格は得られません。しかし、合格することでIT人材としての実力を証明する、といった形で活用することは可能です。
応用情報技術者試験は受験者がIT人材として高度な応用的知識・技能を有しているかどうかを問うもので、情報処理技術者試験においては情報処理についての基本的知識・技能を問う「基本情報技術者試験」の上位にある試験です。
歴史的には、昭和44年から平成12年まで存在した第一種情報処理技術者試験や、その後平成13年から平成20年まで存在したソフトウェア開発技術者試験の後続にあたる試験が応用情報技術者試験です。
しかし試験の内容には変化があり、ソフトウェア開発技術者試験の出題範囲はソフトウェア開発を中心とするものでしたが、応用情報技術者試験は5種類にわたる人材を念頭に置き、従来出題していたテクノロジ系の他にマネジメント系やストラテジ系の領域も出題範囲に含めています。
情報処理技術者試験の試験区分にはそれぞれ略称がついていて、試験の英語名の頭文字からなるアルファベット2文字を組み合わせて呼びます。
応用情報技術者試験はAP(Applied Information Technology Engineer Examination)、基本情報技術者試験はFE(Fundamental Information Technology Engineer Examination)です。
応用情報技術者試験の内容
応用情報技術者試験は受験資格や年齢制限を設けていないため、年齢・学歴・実務経験に関係なく誰でも受けられます。これは情報処理技術者試験の全ての試験区分にも共通しています。
試験は年間2回実施しています。通常は4月の第3日曜日に春期試験が、10月の第2日曜日に秋期試験がそれぞれあり、申込は実施日の3ヶ月前から一月前あたりまで可能です。
応用情報技術者試験は午前試験と午後試験の二部に分かれて実施します。
午前試験は四肢択一式の問題が計80問あり、1問につき解答を1つ行う小問という出題形式を取ります。
午後試験は記述式の問題が11問あり、その中から5問を選択して回答します。各問題は長文の問題文に対して複数の設問を設ける大問という出題形式を取ります。
出題範囲としては、
午前試験では
- 問1~50のテクノロジ系計50問
- 問51~60のマネジメント系計10問
- 問61~80のストラテジ系計20問
午後試験では
- 解答必須の問1・情報セキュリティ
- 経営戦略
- 情報戦略
- 戦略立案・コンサルティング技法
- プログラミング(アルゴリズム)
- システムアーキテクチャ
- ネットワーク
- データベース
- 組込みシステム開発
- 情報システム開発
- プロジェクトマネジメント
- サービスマネジメント
- システム監査
となっています。
配点は午前試験・午後試験共にそれぞれ100点満点で、午前試験は1問1.25点、午後試験は一問(大問)20点、です。
合格するには午前試験・午後試験でそれぞれ60点以上得点しなければなりません。
応用情報技術者試験の難易度はどのぐらいのレベルなのか?
最近3回の応用情報技術者試験のデータによると、令和6年春期試験は受験者数36,730人に対して合格者数8677人(合格率23.6%)、同年秋期試験は受験者数44,342人に対して合格者数12,613人(合格率28.5%)、受験者数38,663人に対して合格者数8,527人(合格率22.1%)、となっています。
受験者の中の20%台の人々しか合格できず、国家試験としての難易度は高いと言えます。
応用情報技術者試験の難易度が高いのは、基本情報技術者試験と比べて問題そのものが高度なこと、出題範囲がかなり広いこと、午後試験の記述式という問題形式、といった要素があるからです。
前述の通り、午後試験では記述式の形で解答する必要があります。これは選択した問題の出題範囲を理解していることを前提として、さらにその内容を自力で文章の形に落とし込まなければならないことを意味します。
応用情報技術者試験の出題範囲は広く、テクノロジ系に該当する基礎理論・アルゴリズム・ソフトウェア・ハードウェアなどの情報処理関係の領域に加えて、ストラテジ系に該当する知的財産権・セキュリティ関連法規・労働関連/取引法規などの情報関連法規、そしてマネジメント系に該当するコストマネジメントなどの会計関連分野といったものも含みます。
コメント